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スコッチからバーボンへ…映画「キングスマン ゴールデン・サークル」を観た!

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先日、映画「キングスマン ゴールデン・サークル」を観ました。本記事はネタバレを含みませんが、観た方でないと意味がわからないと思います。前作からおよそ3年ぶりの2作目、概ね楽しく観ました。全体的には良い劇場体験で、前作を観られた方には是非足を運んでいただきたいです。損はしないでしょう。

とはいえ、前作を超えることはできなかった、という印象が強かった。その理由は恐らく「アメリカ」という主題を大きく引き込んでしまったところ。前作「キングスマン」でも「そんなの無理だろ」系の様々なスパイ・アイテムが多数登場したのですが、それらは「ブリティッシュ・ジョーク」や「ジェームズ・ボンドの伝統」という文脈の中で、ぎりぎりのところで受け入れられる感じでした(不自然さも含めて)。

しかしこれがアメリカに舞台を移すと、「必殺兵器・電気投げ縄」が説得力を持たなくなるのです。何故ならそれはブリティッシュ・ジョークや「007シリーズ」の伝統と切り離されているから。ある種の表現が強い説得力を持つためには、特定の文脈が必要となるのだ、ということをあらためて理解した瞬間でした。

「水陸両用のクルマ」とか、「英国紳士の傘」が武器になるところなどは、どれほど荒唐無稽であってもやはり歴史的文脈のおかげで楽しんで観られるのですが、「カウボーイのロープ」や「野球のバット」にはそういう歴史的文脈がない。そのため観ていると「その容積のホルスターにその長さのムチが収納できるわけがない」という醒めた疑問を抱いてしまうのです。

とはいえ全体的には概ね満足できる内容でした。個人的には「アメリカ」という要素を引き込むのはまだ早かったのではないか、前作「キングスマン」をもう少しゆっくり展開する感じで第2コーラスをやっても良かったのではないか、と思いましたが、恐らく次の作品(があるとして)によって本作の評価が決定することになるのでしょう(次作はスウェーデンが関係してくるのか!?)。

ところで先月、このブログでカントリー・ミュージックに関する記事を書きました。

カントリー・ミュージックという私の知らないアメリカ
カントリーと呼ばれる音楽ジャンルのことを私はまったく知らず、興味もなかったのですが、ギターには「チキン・ピッキング」と呼ばれるカントリー由来...

これを書いてからあらためてイギリスとアメリカの関係に思いを馳せたのですが、「ゴールデン・サークル」はスコットランド風のバグパイプ音楽ではじまり、最後はカントリーのポップ・ソングで終わりました。このコイシンデンスが面白かったです。バグパイプからカントリーへ。スコッチからバーボンへ。そこにある連続性と断絶。そういうことを考えさせられる映画でもありました。

マーク・ストロング扮するマーリンが、自分がいちばん好きな曲としてジョン・デンバーの「カントリー・ロード」を歌うんですよ。ビックリしました。カントリーとアメリカ、アメリカとヨーロッパの連続性をあらためて感じさせられました。

「キングスマン ゴールデン・サークル」はまもなく劇場上映が終わってしまうと思うのでご興味のある方はお早目に。前作「キングスマン」をまだ観ていないという方、こちらははもう完全に手放しでオススメの映画なので是非とも観ていただきたいです。Amazonで見られます(キングスマン(字幕版) )。今回がつまらなかったのではなく、前作があまりにすごすぎたのです。

 

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