ベン・モンダーのルーツを探る過程でデスメタルの魅力にはまっているのですが、今回もその話題です。メシュガーというスウェーデンのバンドに”Bleed”という有名な曲があるのですが、そのPVの映像世界が恐ろしくも謎めいていて、何度も観てしまいます。
食前食中の方は観ないでください。一般的には気持ち悪いと形容されるような映像です。
このPV、どんな意図で撮影されたのだろう、寓話の世界のように見えるけれど何だろう、とずっと不思議に思っていたのですが、つい先日、YouTubeのこのPVのコメント欄に、海外の人(LemonZeppelin氏)が面白い解釈を投稿されていました(ソース)。
この動画は相当クレバーにできている。最初に土の上で暴れまわっている虫は世界の中にたった独りで投げ込まれる赤ん坊を現している。
ジャケットを着た男は自由人、または世間知らずのティーンエイジャー。
鎖で繋がれて怒っている生物は、文化によって奴隷化され規則正しい仕事をしている人間、あるいは自由を渇望して叫ぶその者の魂を表現している。彼は自由人を捕らえ、自分の仲間にしようとする。仕事を得ることによって(穴の中に手を入れることによって)社会に参加するのだ(中に何が入っているのか知らないとしても)。最終的に彼は焼印を押され、社会の一部となり、飛び出す頭に怒鳴りつけられる。それはマネージメントを現している。
糸を持った女性は資本主義と金融システムを象徴している。彼女は暗い色合いの素敵でピカピカしたモノを安定的に供給する。最後、その糸(=ピカピカした製品の供給)は切られ、今度は負債を意味する黒い顔の男が忍び寄り、自由人は鎖に繋がれてしまう。男は怒り狂いながら自分の服を引き裂き、自分が直面している不正にむかって叫ぶ。
4本の腕を持った男は政府を意味する。血みどろの4本の腕と手は政府が持つ複数の部署を表す。血みどろなのは政府がそういう行いをしているからだ。この男は蓮の葉の上で座禅を組んでいるが、それは政府というものが平和的で本当は善きものだという幻想を意図的に生み出していることを象徴している。血まみれなのは明白なのに。彼はまた全てを監視している者として表現されているが、片方の手を口に当てている様子は、誰も口にしない政府のスキャンダルや暗黒の秘密を現している。鎖に繋がれた男はいま、政府に向かって怒り狂いはじめるが、政府は彼を睨みつけ、彼を追放するか監獄に送るぞと脅しつける。繋がれた男は意気消沈してしまう。
鎖に繋がれた男はもはや完全な社会の一員となり、自分が置かれた状況に苛立っている。彼は借金(鎖によって象徴されている)によって奴隷化され、税金を支払わなくてはならないので政府(4本腕の男)にも隷属している。
彼は動画の最初で会った生き物のようになってしまった。システムによって隷属化され、苦々しく苛立ったケダモノ。それは自由な人間を自分と同じ運命に導こうとする。何故なら不幸は仲間を欲するものだからだ。
この解釈は面白いなーと思いました。往々にしてこういう動画の製作者はこういうことを考えていなかったりすることも多いですが、優れた作品ほど多様な解釈を可能にするということはあると思います。私は読んでいていくつかの部分で納得しました。
このメシュガーというバンド、演奏技術ものすごいですね。中毒性の高い音楽です。
NUCLE (2016-10-07)
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