音色、トーンを決定するのはギター本体なのか。それともプレイヤーの身体的特徴や操作なのか。これについては過去にも何度か記事を書いてきて、自分なりの結論を得たのですが、最近こんなチェット・アトキンスの逸話を知りました。アメリカの音楽関係者のあいだでは伝説として語り継がれているそうです。
チェット・アトキンスが、ナッシュビルのとあるスタジオでセッションに向け、愛用のグレッチでウォームアップをしていた時のことだった。ある若いエンジニアがスタジオに入り、チェットが演奏を終えるまで口をあんぐり開けて立ったまま見ていた。
「ひえー…アトキンスさん、あのギターすっげえ良い音しますね!」
チェットはそのグレッチをスタンドに立て、エンジニアに微笑んでから言った。
「そうか。で、いまあのギターはどんな音を出しているかね?」
ギターをはじめたばかりの方は、いい音を出すプレイヤーに向かってついこうした言葉を(悪気なく)口にしてしまうこともあると思いますが、最終的な音のアウトプットにおいてギターの特性が占める割合はそんなに高くないと個人的には思います。高くないというか、プレイヤーが9割、ギターが1割くらいではあるまいか、とさえ思います。
でも良いギターは操作性が良かったりするし、弾きやすければインスピレーションも得られて音色にもさらに磨きがかかってモチベーションもあがる…という好循環があり、ギター本体が大事でないということでは勿論ないんだ、と新しいギターが欲しくなったら自分や配偶者に言い聞かせましょう。
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