このブログでは時々YouTube動画を紹介しつつ感想を書いたりしているのですが、自分の判断で「これはサイトに埋め込み表示しても問題ないだろう」と思っていたものに、どうも問題が発生しうるケースがあるらしいことを知りました。
1. 違法な動画をそれと知らずに埋め込み表示してしまっているケース
YouTubeには映像権利者の許諾を得ずにアップロードされている動画がたくさんあるので、このブログで紹介する時は投稿者が怪しい人でないか調べます。そして3年とか5年とか経っていれば恐らく権利的な問題が発生している蓋然性は低いのだろう、と恣意的に解釈して(探偵に裏取ってもらうわけにもいかないので)記事中で批評を目的として紹介したりしています。
同じ動画が3つも4つもある時は、古い日付にアップされていてチャンネル登録数も多い「まともそうな」アカウントのものを選んでいるわけですが、この方法では誤って違法なものを紹介してしまう可能性は排除できません(勿論、違法にアップされた動画をもしこのブログで紹介してしまっている場合、埋め込み記述を削除いたしますのでご連絡いただければ幸いです)。
2. 適法にアップロードされた動画だが演奏対象がJASRAC管理楽曲であるケース
今度は「動画の正当な権利者が合法的にYouTubeにアップしたものなら、何でも外部ブログに埋め込んでいいのか」という問題に移ります。私、これは「いいに決まってるだろ!」と思っていたのですが、それは間違いだったことをこの方の記事でさっき知りました。JASRAC管理楽曲が動画内で演奏されている場合、広告収益が少しでも発生している外部サイトに「埋め込み表示」するにはJASRACと契約しないといけないらしい。
YouTubeはJASRACと包括的な契約を結んでいて、例えば誰かがJASRAC管理楽曲を自分で演奏したり、歌ったりして、それをYouTubeにアップするのは、それが広告収益を目的としていても問題ない。というのが私の理解です。YouTube側がJASRACに包括的にお金を支払っているわけですよね(もっともこれは演奏についてのみで、動画内ではたとえJASRAC管理楽曲であってもCDのような録音音源をBGMのように流したりするのは違反)。
YouTubeの動画には外部サイトやブログで紹介しろとばかりに「埋め込みコード」も用意されているし、YouTubeは既にJASRACにお金を支払っているので、例えばこのブログで「JASRAC管理楽曲の演奏動画」を紹介しても問題ないだろう、と私は思っていたのですが(というのもそうした動画内にも正当な動画権利者による広告が埋め込まれていることもしばしばであり、その広告収益の何割かはGoogleのものになり、GoogleはそれをJASRACをはじめとする権利者に還元・分配するという仕組みのはず)どうもそうではないようです。
勿論なんとなくやばそうなものはこのブログでは紹介しないようにしてきてはいるのですが、もしかすると過去に何か逸脱行為をしてしまっている可能性もなきにしもあらず。例えば椎名林檎の歌をギターで弾いてYouTubeにアップするのは何の問題もないけれど、こういうブログに埋め込むにはJASRACの許可がいる、ということのようです。このあたりは厳密にチェックしてこなかったので、ご指摘があれば対応しますし、今後はそういうことがないようにも心がけるつもりですが、ひとつよくわからないのが「動画の批評的引用」ってどうなっているんだろう、ということ。
例えば、1つの記事に批評的文章が一切なくて、ただやむくもに大量の動画が貼り付けられていて、その回りには大量のアフィリエイト広告が貼ってある、というようなケースはそもそもYouTubeの利用規約で禁止されています。
YouTube では利用規約を更新し、ウェブサイトと YouTube 埋め込み型プレーヤーの使用方法としてどのようなことが許可されるかを明確にしました。ブログで時々 YouTube の動画を貼り付けてコメントを付けたり読者に好きな動画を見せたりすること自体は問題ではなく、それが一般向けの広告を含んでいるブログであったとしても YouTube はその行為を禁止しません。ただし、大量の YouTube 動画を埋め込んだだけで、意図的に広告収入を得ようとするだけのウェブサイトは、利用規約に違反しているものと見なします。
そういうのがアウトなのは簡単にわかるのですが、こういう場合はどうでしょう。あるシンガーの歌い方、声のコントロールの素晴らしさを伝えるために、その歌唱動画(それが違法にアップロードされたものとは確認できない前提で)をブログで埋め込み表示する。批評対象の歌そのものを読者に聴いていただかないと、批評行為がほとんど成立しない、みたいな場合、なおかつ引用主と引用対象にある程度合理的な主従関係がある場合、これは「批評を目的とした正当な引用行為」にはならないのか。この時、その歌がJASRAC管理楽曲だとしたら、やっぱりブログに貼ってはいけないのか(というか、貼るとしたらJASRACにお金を払わなくてはならない=インタラクティブ配信の許諾契約が必要になる、のだろうか)。これは少し調べた限りでは明確な回答が見つかりませんでした。
ちなみにJASRAC管理楽曲を演奏した動画であっても、収益が一切発生していないブログなら貼っても問題ないそうです(このブログはわずかながら広告収益が発生しています。でもJASRACと契約しろ!と言われたらじゃあ動画全部消します、と言わざるをえない程度の収益ですが)。
下の動画は、ジョン・ストウェルによる”All The Things You Are”という曲の演奏で、ジャズ・ギタリストの松原慶文さんによる便利なまとめ記事によるとこの曲はもう著作権が切れているらしいので、一応安心して貼っても良さそうです。本当はブログで演奏動画を紹介するだけでいちいちJASRACが関係していないか調べる必要があったんですね…
3. ブログで使っている写真や画像の話
動画の著作権の話のついでに、このブログでの写真や画像の扱いについても書いてみます。このブログで使用している写真・画像は、大部分が適法なライセンス下で使用しているもの、パブリック・ドメインに属するもの、私自身が撮影・編集した写真や画像のいずれかです。例えばこの記事のアイキャッチ画像に使わせてもらっているKISSのロゴはアトリビューション表示の必要がないパブリック・ドメインに属することを確認しています。
大部分、と書いたのは、このあたりも気を付けてはいるのですが、自分が持っているレコードやCDやパンフレットの写真ならいいのかとか、amazonアフィリエイトのAPIで呼んできた画像はシロなのかとか、このブログで使っている”simplicity”という大変使いやすいテンプレートがYouTube動画から自動的に切り出してくるアイキャッチ画像は権利的になんとなくグレーそうだとか、自信が持てないところが多々あるからです。
グレーっぽい時に注意しているのは、最終的に自分の行為がその写真に映っているアーティストにとって有益なものになっているか、彼等の名誉や尊厳を傷付けてはいないか、ということですが、これは個人的な倫理の話であって、法律家がどういう判断を下すかは別。もしかしたら逮捕勾留されて廃人になってしまうのかもしれない。
結局、自分にできる範囲で法律を尊重し、気づかないうちに脱法行為していることがないように努力はするのですが、様々な課題を完璧にクリアしようと思うと、多くの音楽系ブログ、音楽批評サイトから次第にグラフィックや動画が消えていくような気もします。無論、それが本来の正しい姿なのだ、と言われればそれまでです。
ともかく、このブログでは違法なことをするつもりはありませんし、アーティストの権利侵害や名誉毀損に繋がるようなことはしたくないので、もしお気付きの点がある場合は、ご指摘いただければ適正に対処します(これまで指摘されたことはありませんが…)。