さあ弾くぞ!練習するぞ!祝日だから倒れるまで練習してやる!的な気持ちでギターを手に取ると、アドレナリンが出て集中はするかもしれないけれど、筋肉が硬直してしまうのではないか。心も同時に硬直して、柔軟な発想も失われてしまうのではないか。
最近、脱力することの重要性を痛感しています。脱力することが大事というのは昔から多くの人が言っていることで、いまさら何をそんな当たり前のことを、と思われてしまうかもしれないのですが、当たり前のことほど大事だな、とも。
何か、難しいものを弾こうとする。頑張らないと弾けないような速いパッセージ。長いパッセージ。気合を入れないと瞬時に押弦するのが難しいコード。そういうものを「頑張って」弾く練習をする。「気合を入れて」押さえる練習をする。
そういう練習をこれまでしてきたし、それはそれで必要なものだと思うのですが、どうもそれだけでは足りない、というか、それだけだとまずい気がしています。
休日の朝、起床してコーヒーを飲んで、ソファに座って、ギターを膝に乗せて、音を消したテレビを眺めながら、何か弾きはじめる。ウォームアップもしていないコールド状態。この状態で弾けるものは、かなり深く身体に染み付いているもので、気合を入れていない脱力した状態でもスムーズに弾ける。
精神は集中していても、身体は脱力している、筋肉が硬直していない、良い意味で気合が入っていない、こういう状態が理想的。人前で弾く時もこういう状態だったらきっといい演奏になるはず。
この状態をどうやったら長時間持続させられるのだろうか。
1日6時間、休憩を入れず連続して頑張って練習したあと、残りの18時間は一切ギターに触れない、という方法よりも、30分に1度で良いから5分間弾いてみる。それを一日中やる。こまめにギターに接する時間を増やす。そういう練習は、リラックス状態を瞬時に取り戻すためにとても良いのではないか。
5分間だけだとウォームアップには足りないかもしれない。でも多分それが良いのではないか。ヘンに力まずに、常にコールドスタートで何か弾くという体験を増やす。練習であることを忘れるような練習。戦闘と休息の区別をなくすような訓練。
自分から良いメロディが生まれる時、良いグルーヴが生まれる時は、どう考えても「いい感じにリラックス」できている時なんですよね。反対に、何も出てこない時、リズムが狂ってしまう時は、「良いメロディを出さなくては」という強迫観念に取り憑かれていたり、緊張している時。そして頭が真っ白に(笑)。
よくプロの方々が、私は練習なんかしません、という言葉を口にすることがあるのですが、それはこういう意味なのかな、と思いました。気合を入れた練習はしないけど、しょっちゅうギターを触っている。そういう時間がきっと多いんじゃないのかな。
何か達成しよう、これが絶対にできるようにならなければ未来はない、という切迫した気持ちで練習しても、あまり良いことはなさそう。身体は硬くなるし、その成果も人前ですっと出てこない。頑張らないで弾く時間を増やす。練習しない練習をする。
自分自身を自由に表現したいのなら、昨日の全てを棄てなければならない
To express yourself in freedom, you must die to everything of yesterday.
– Bruce Lee, Tao of Jeet Kune Do
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