2017年2月末日、「小沼ようすけ x U-zhaan スペシャル・セッション」をモーションブルー横浜で観てきました。これはもう最高のライブで、後世に語り継がれる伝説の一夜であったことは間違いありません!
いやーもう演奏が最高なのは勿論、お2人のMCも最高に面白かったのでした。私は長いMCや無理に笑いを取りに行こうとするMCがあまり好きではないのですが、この夜は様々な「ハプニング」があり、それをネタに超一流漫才をも超える抱腹絶倒のトークが自然発生したのでした。あくまで自然体の小沼さんに、斜め上からなのか真正面からなのかわからないU-zhaan氏が切り込み、曲間のタブラのチューニング中にも絶妙のインタープレイが展開されたのでした。あの夜あの会場にいた方は本当に幸運だったのではないでしょうか。こんなライブそうそうありません。
さて肝心のお2人のプレイ。U-zhaan氏はインドの伝統楽器・タブラの奏者。今回は10個のタブラを携えておられました。この楽器、シタール等と伝統的なインド音楽を演る場合は曲毎の調律は必要はないようですが、今回は曲ごとにチューニング。ペダル・トーン的によく使われる音に合わせるようでした。
小沼さんはGibson ES-275, Westville Corona, Style-N Nishgaki Guitars(フレットレス)の3本のフルアコを駆使。このフレットレス、鳴りがものすごいのですが、これでループ音源を作ってその上で別のギターを弾くという曲も。ギターという点では、小沼氏とES-275の相性は本当に素晴らしいと思いました。ES-275から出てくる氏のサウンドは最高に魅力的。これはWestville Coronaが悪いという意味ではなく、好みの問題です(私は渋谷ウォーキンのファンです)。ただ、Coronaはとても弾きやすそうな楽器には見えました。音は少し固いかな…木が育つ楽器だと思うので今後に期待。
小沼氏の足元には数種のエフェクターがありましたが、一番感動したのはStrymon blueSkyというリバーブ。”Shimmer”という、オクターブ上や5度上の音がスウェル・インしてくる感じの不思議な残響があるのですが、ライブではじめてその音楽的な使い方を体験しました。このペダルには様々な可能性がありそうでかなり気になりました。
そしてやはりU-zhaan氏のタブラ。タブラの生演奏をこんな感じでじっくり聴いたのは初めて。スリルとサプライズとグルーヴに溢れた強力なリズム。小沼氏も最高のリズム・タイム感の方なので、この2人のコラボ、ものすごいリズム空間が生まれていました。果たしてこれが合法なのか…と思われるような陶酔感が得られる音楽。
ジャズ・スタンダードは”Someday My Prince Will Come”と”I’ll Remember Clifford”の2曲。後者ではU-zhaan氏が味わい深いアルトホルンを演奏。それ以外は小沼氏のオリジナル曲(Jam Ka Deux収録曲等)で、これがなんとも心地良い音楽。
小沼ようすけさんは昔からずっとすごい人だったけれど、ここ数年間でさらにすごい別次元に突入された感があります。誰も真似できない、誰にも似ていないオンリーワンの世界。小沼氏が現在の音楽世界に到達したのは、氏の言葉を借りて言えば「自分らしくありたい」という欲求をどこまでも追求してきたからではないかと思います。あとU-zhaan氏もそうだと思うのですが、異文化や外国人との接触が多いミュージシャンの演奏には不思議なスケールの大きさを感じます。そんなの関係ないって言う人もいるかもしれないけれど、いやきっと何かあるよ、と私は思います。日本の中だけだと、この音楽は生まれないんじゃないのかな。
一瞬たりとも表情を曇らせることなく、ひたすら楽しげに音と戯れる小沼氏。きっとサーフィンの楽しさってこんな感じなのでしょうか。小沼氏のライフスタイルと音楽は完全に調和しているのだと思います。眩しすぎる自由な演奏と、癒やしの音楽。伝説となるライブを観た!
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