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私がよく見る欧米の音楽解説系YouTuberたち

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私が最近よく見るようになった欧米の音楽解説系YouTuberたち6人をご紹介します。なぜこの方たちの動画を観るようになったかというと、何か調べていて自然にたどり着いたり、あとはYouTubeのオススメに上がってきたりしたのでした。どの方のチャンネルにもクオリティの高い動画が大量にアップされているので、興味を持ったものから視聴されてみてはどうでしょうか。

Adam Neely

アダム・ニーリーは欧米の音楽解説系YouTuberの中でいま最も熱い男といって良いような気がします。特にジャズに特化しているわけではないもののバークリーに学んだベーシストで、鍵盤や電子楽器の扱いにも長けています。YouTuberデビュー当時から知っているわけではないですが、初期はごくごく普通のベースレッスン動画をアップしていたらしいのが面白い。

現在彼が扱うテーマは中世教会音楽から現代音楽まで非常に幅が広いです。制作前に徹底的にリサーチしている感じで動画の編集にも時間がかけられている印象。そのせいかアップされるのは週に1本か2本。高い知性と豊かな教養を持ち、おバカなことをやる余裕もある。私はこういう人好きです。

彼は非常に早口で喋るのですが、滑舌の良い明瞭な発音で、全く淀みない論理的な語り口なので内容が理解できなかったことはありません。音楽の歴史の全てを語りつくそうとしているかのような野心が感じられます。なおちょっと前まで丸刈りでしたが最近髪を伸ばしはじめました。丸刈りのほうが私は好きでした。イケメンなだけでなく声もいい。何より人間的な魅力があります。

Jens Larsen

イェンス・ラーセンはデンマーク出身で現在はオランダ在住のギタリスト。いわゆる「ジャズギター」にほぼ特化したYouTuberで、最近は5〜10分程度のコンパクトなレッスン動画・演奏解説動画が多いです。毎回ポイントが絞られていて、情報価が高い。しかも毎日のように動画が出ます。王道のジャズギターレッスン系YouTuberという感じでしょうか。

北欧出身の方らしく迷いのない早口の英語を話すものの、日本人の耳にはやや聴き取りにくい発音かもしれません。特徴的なのは”z”が柔らかい”s”のようなサウンドで発音されること。彼が「ジャス」という時それはJazzで、「プレイスライク」はplays likeだったりする。でも慣れると聞き取れるようになります。

動画はかなりテンプレートに沿ったつくりで、中盤にチャンネル登録・シェア・いいねしてね!という文字による宣伝が入ります。YouTube動画によくあるタイプの構築法です。直球勝負の王道的かつ真面目な内容で、見て損をした、ということがまずありません。ハメを外したおふざけ動画はなかったと思います。

Rick Beato

リック・ビアートは過去にビルボード入りしたヒット曲に共通するコード進行の話、ダブル・ハーモニック・マイナーという謎スケールの解説、ギブソンの倒産についての友達との雑談等々、守備範囲がかなり広いYouTuber。ピアノとギターを少々弾く方と思われます。ジャンルもポップスやハードロックから現代ジャズ、映画音楽と幅広い。

滑舌が良く聞き取りやすい英語を話します。論理的な喋り方なので何を言っているかわからないということもあまりないです。世の中にモノ申す系の動画もあり、そのシリーズでは「最後にモノ放り投げる」というお約束アクションがあります。例えばアップル社を批判する動画の最後では、これまでに買ったiPadの箱を床に音を立てて落としたりしていました。

少しやんちゃなところのある強烈なキャラクターの持ち主だけにアンチも少なからずいるようですが、憎めないところがあるおじさんで私は好きです。

Jazz Duets

Jazz Duest氏は南米アルゼンチン在住のサキソフォン・プレイヤー。動画ではソプラノサックスがよく演奏されていますが、ギタリストを意識した動画も多いです。奥様はピアニスト。この方の動画は驚くほどクオリティが高いです。エデュケーションとエンターテイメントが一体となったエデュテイメント的なテイストのある内容で、単なる教則動画を超えている感じがします。

とにかく動画自体に不思議な作品価値を感じてしまいます。丁寧なイラストが多用され、編集も凝ってます。最近顔出しするようになりました。最近ファンがかなり増えてきているようです。こういう一見地味な方が評価されていくのは見ていて嬉しいですね。

Nahre Sol

ナーレ・ソルはジュリアードに学んだピアニスト。クラシック畑の人で、「クラシックの人間から見たボサノバ」や「クラシックの人間から見たブルース」のような面白いタイトルの動画があります。韓国系の方と思われます。

ショパンの曲から取り出したオブリガードを素材にミニマルミュージックを制作したりと、他ではあまり見られない発想の動画が多いです。ピアニストは勿論、ギタリストが見ても面白いと思います。

Samuraiguitarist

ここ最近メキメキと頭角を表しているのがサムライギタリスト。カナダ出身で、日系人らしい。幅広いジャンルに対応したオールラウンダーな感じのギタリストで、ジャズの訓練も受けているそうです。ブレのないタイトなグルーヴの演奏をする人で、熱狂的なファンが増えている模様。

動画で扱っている内容は幅広く、ギター用ガジェットのレビューからギターの試奏、ミュージシャンとしての心構え、視聴者からの質問に答えるQ&Aシリーズなど多岐に及びます。コンパクトな動画の中に多くの情報を詰め込むハイ・デンシティな手法はアダム・ニーリーの影響でしょうか。面白いYouTuberは皆、飽きさせずに最後まで見せる工夫を凝らしています。

基本的に笑わないのはサムライというキャラ設定ゆえか… たまに背後に置物や掛け軸が写ったりするのですが、それが日本風というより中国風に見えることがあり、信頼が揺らぎそうになるものの真面目でまともな人だと思います。インスタグラム世代のユースという感じで、良いものは良い、嫌いなものは嫌い、という是々非々な態度が面白い。

最後に

ここで紹介した6人は相互に響き合うところがあるらしく、たまにお互いをゲストに招いてコラボ動画を制作したりもしています。そうすることで単純にお互いのチャンネル登録者数を増やせるという大人の事情もあるのだろうけれど、それよりも楽しんでやっている感じがあって面白い。

彼らは本気の職業YouTuberです。片手間でこれらの動画を制作するのは無理でしょう。これは彼等の職業であり、メインの収入源でもあるはず。現状、音楽の演奏や音源の販売だけでは生活が立ち行かないという悩みは世界共通。その中で生き残るためにYouTubeに進出し、独自の動画表現を洗練させてきたこの人達に学ぶことは、音楽以外にも多いです。


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