パキスタン出身のジャズ・ギタリスト、レズ・アバシがジム・ホールを次のように評しています(演奏者名を明かさずに、ジム・ホール&ロン・カーターによる”Softly”を聴いてもらい、ギタリストが誰かを当てる、というインタビューです)。
彼は本質的に模倣できない存在だ。誰もジム・ホールのようにサウンドすることはできない。挑戦したとしてもね。他の高名で有名なギタリストについては、そうではないんだ。多くの若いギタリストの演奏に、そういうギタリストの影響は感じる。でもこれ、これはジム・ホールなんだ。わかっていたよ。何、2つ音が入った、だよね? これ何のレコードかわからないな。たぶんロン・カーターとのやつかな?
ジム・ホールについては語り尽くせないよ。僕のプレイに影響を与えた他の誰よりも、彼はリストのトップにいる。もっと上のところにいると言ってもいい、リストの外にはみ出るくらいだ。実際、ナンバーワンとかじゃない、もうリストの天井にいるんだ。
僕は彼を30年以上聴いてきたんだ、でもジャズをはじめて以来、どんなに長い間プレイしてきたって、彼は初めて聴いた日のように新鮮に聴こえるんだ、こういうことは他のどんなプレイヤーについてもまず言えないね(笑) 何故なら(他のギタリストには)何年もかけて発達した手癖(=idiosyncrasies, 個々人独特の表現の癖)が聴こえる。
でもジム・ホールの場合は、音楽だけだ。ずっとね。
1965年生まれのレズ・アバシは最近ホットな人で、よく名前を耳にするようになってきました。インド音楽、特に南インドの音楽語彙を使う人です。ピアノのヴィジェイ・アイヤーも素晴らしいですね。ちなみにこの動画でドラムを叩いているのはダン・ウェイスです(関連記事)。
この人もすごいですが、こういう人にも大きい影響を与えたジム・ホールは本当にすごいなぁとあらためて思ったのでした。