自分の好きな日本のジャズミュージシャンの情報をSNSでチェックしていると、政治批判もよく目することがあります。基本的に左派の方が多いように感じます。インスタでフォローしているアメリカのジャズミュージシャンも、当然といえば当然ですが打倒保守・打倒トランプという人が多いようです。
アントニオ・サンチェスはメキシコからアメリカに帰化し、先の大統領選挙直前に選挙権を手に入れたようです。彼のインスタでのドナルド・トランプへの皮肉、風刺がすごい。ライブ情報や楽しい投稿も多いのですが、彼にとって自身の政治的信条を伝えることは人として多分外せないものなのでしょう。
これもサンチェス氏の投稿。「やらわかさは国境を超える」がスローガンのメキシコ製トイレットペーパーに笑顔のトランプ大統領が印刷されています。強烈です。サンチェス氏もきっとアメリカにやってきて相当苦労したのでしょう。
これはニア・フェルダー氏の投稿。彼のリーダーアルバム”The Golden Age”はビル・クリントンの”Thank you very much”という言葉からはじまります。ヒラリー・クリントンは彼のヒーローだそうです。ちなみにフェルダー氏はイスラエル移民二世。
大統領選の日、フェルダー氏はこんな投稿もしています。「あなたの友人であるギタリストからの大切なメッセージです。今日がその日。選挙に行こう。私達の残りの人生に大きい影響を与えるものの一部になろう」と訴えています。ヒラリー・クリントンが選挙に破れた時の彼の失望は言葉にならないものだったでしょう。
ベン・モンダーとの共演で知られるヴォーカリスト、テオ・ブレックマンの投稿から。彼は性的マイノリティの権利のために戦う闘士でもあります。
これはギラッド・ヘクセルマンの投稿。ギラッドは米国籍ではないかもしれませんが、まあこうなって当然だろう、とは思います。ドナルド・トランプ万歳なジャズミュージシャンはちょっと想像できません。それにしても容赦ないです。
ところでアメリカの人気音楽系YouTuberのアダム・ニーリー氏に、こんな動画があります。1:44〜の「政治は音楽から切り離すべきか」というテーマ。これは彼のチャンネル登録者からの質問に答えるコーナーで、質問者は「ミュージシャンが自身の政治的見解を説き続けているのを見るとうんざり」するらしく、「音楽と政治は区別すべきだ」と言っています。
対してニーリー氏は、その主張には全く同意できない、音楽と政治には深い結び付きがあるんだ、と回答。ベートーヴェンもメシアンもペンデレツキもジミ・ヘンドリックスも政治的な人間であり、そういう作品を多く残した、そういう事情を考慮しなければ正しく理解できない作品もある、ただ必ずしも彼らの政治的意見に同意する必要ない、例えば僕はワーグナーには賛同しない…、とも語っています。