下の記事でカニと切っても切れない関係があることが明らかになったディミニッシュですが、今回もディミニッシュの世界を自由研究してみます。
2つの音から成る和音 (厳密には和音とは呼ばないらしい)、いわゆるダイアド(dyad)やダブルストップをディミニッシュ・スケールから作ってみます。この記事では「Cの半音-全音ディミニッシュ」を使用します。別名、Cのコンディミ。英名C half-whole diminished scale(またはC dominant diminished scale)です。
ちなみに基礎知識。「全音-半音ディミニッシュ」は単に「ディミニッシュ」と呼び、「半音-全音ディミニッシュ」の場合はコンディミと呼ばれます。開始点が違うと名前が変わります(モードのようなもの)。
それでは早速作っていきます。スケール・ディグリーの3度で2音を積みます。半音-全音の間隔で、短3度のダイアドの連続が出てきました。これは覚えやすいですね。
今度はスケール・ディグリーの4度で見てみます。すると長3度と完全4度が交互に現れました。これはハンマリングとプリングを混ぜたりするとギターっぽい実践的なフレーズを生み出せそうです。
次、2度で観察。短2度と長2度が交互に現れます。クラスターです。いい響き。
上のダイアドがいい感じなので増築してみます。ボトムに1音追加。5度+2度のインターバリック・ストラクチャー。これも好きな響きです。
さらなる刺激を求めてもう1音足してみたいという欲求が出てきました。しかし5弦でかぶらない音を弾くのが難しいので、6弦に入れてみます。下から8度+5度+2度のスタックになりました。おっ、2つめのコードはお馴染みのドミナント・セブンス(#11)のシェイプだ。こういう発見があると楽しいですね。山椒が効いた麻婆豆腐みたいなサウンドです。
下は、だいぶ前にJazz Life誌で井上智さんが紹介されていた例です。スケールの7度で積むと長6度が出てきます。ギターの伝統的なダブルストップがいきなりモダンに! スライドで移動するのも良いですね。
8度間隔で積むと短7度と長7度が登場します。このサウンド最高(ジャズや現代音楽を聴かない人にはわかってもらえないかもしれない…) あと譜例は省略しますが、5度間隔で積むと増4度の連続、6度間隔で積むと完全5度と短6度が交互に現れます。
身体にこういうダイアドが入ったら曲で練習してみます。ジム・ホールの”Careful”はディミニッシュの練習に最高だと思います。ブルースなのですが、16小節だからサイズに気をつけよう、という意味で「ケアフル」と名付けられました。A7で始まる曲です。コンピングにも、フレージングにも参考になります。
なんと竹中俊二さんの演奏も発見!YouTubeでは日本人ギタリストによる唯一の演奏かもしれません。
ジム・ホールの”Careful”はディミニッシュ・スケールをモーダルに扱っている曲ですが、古典的な機能和声におけるディミニッシュの用法、例えば(b9)コードの代用として、セカンダリー・ドミナントとして、トニック・ディミニッシュとしての用法に興味がある方は、下の本が参考になると思います。枯葉や循環やブルースの例などが入っているのでわかりやすいと思います(英語ですが、文章は最低限です)。