Victor Bakerのアーチトップは、頻繁ではないですが国内でも時々オーナーさんをお見かけします。先日インタビューさせていただいたロメイン・ピロン氏の愛機もVBの15インチフルアコ。
NYC在住のヴィクター・ベイカー氏は自身もスタイルを確立したジャズ・ギタリスト。演奏家になる人、楽器制作の道に入る人、様々ですが、この方は弾くのも作るのもとことんやっている感じですね。レディオヘッドを思わせるイントロのこの曲も氏のオリジナル。
VB愛用といえば真っ先に思い出すのがギラッド・ヘクセルマン。以前はスタンダードなモデルを使用していましたが、最近かつての彼のトレードマークだったギブソン・ハワード・ロバーツへのトリビュートモデルが制作されたそうです(下の動画は鏡像になっています。ギラッドは普通に右利き)。
個人的に弾いてみたいのが下の1本。クラインギターを思わせるエルゴノミクス。膝に置いたらネックが自然に上を向いて弾きやすそう。音はやはりこの工房特有のものという感じがします。VBに限らず手工ギターの世界全体に感じるのですが、とにかくミッドがリッチというか「身がつまっている」感じがします。
VB一番人気のモデルはやはり15インチのフルアコらしいです。ベースプライスが$4700(ケース・送料別)。記事執筆時のレートで約52万円。基本スペックは以下。
- ボディデプス:2-3/8″ (60.5mm)
- ボディ幅:15″ (381 mm)
- 表板:シトカ・スプルース($100でイタリアン・スプルース・チェロウッドに変更可能)
- サイド・バック:マホガニー($300でイタリアン・フレームメイプル・チェロウッドに変更可能)
- ブレイシング:Xまたは小さいサウンドポスト・ブロック
- サウンドホール:F、キャッツアイ、チェロFのいずれか
- ネック:ホンデュラスマホガニー(2ウェイトラスロッド)
- ヘッド:エボニー貼り
- ナット:ボーン、1-11/16” (43mm)
- ヘッドインレイ:VBロゴのみ
- 指板:エボニー
- 指板R:12″ (305 mm)
- スケール: 25″ (635 mm)
- フレット数: 21
- フレットサイズ:ジャンボ
- 指板インレイ:サイドのドットのみ
- バインディング:なし
- フィニッシュ:サテン(フラットまたはロー・グロス)
- ブリッジ:エボニーベース+Tuneomaticサドル
- テールピース:エボニー
- マシンヘッド:Gotoh 510のブラック
- ピックアップ:ケント・アームストロングのフルサイズハムバッカー1個
- コントロール:トップマウントのボリュームとトーン
基本的に完全受注生産で、発注の流れとしては「アイデア、スペック、オプション、スケジュール、コスト面での最終的なスケッチ」が完成した段階で$1000のデポジット。その後「ロックダウン」という仕様上の最終合意を経た上で制作に取り掛かるとのこと。ロックダウン時は全額の50%を、残額をパーツ組付け直前に支払います。最初のデポジット以降はキャンセル・返金不可。ケースは大体$155。
オプションにもよると思うのですが、人気ルシアーによるギターの中では買いやすい価格設定ですね。いいなと思った方はお店を覗いてみてください。