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怪談(参)

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以下に記すエピソードは、アメリカ合衆国のとあるギターショップ店員が実際に体験した恐怖事件である(証言)。心霊現象に免疫がない方は決して独りでは読まないよう強く推奨する。
 
 
 
 
 

ギターショップにいて、何を買うわけでもなく、そこで働いているわけでもないのに、あたかも何か買おうとしているような、そこで働いているかのような、そんな男にしつこく絡まれたことは、ないでしょうか…

私は、ギターショップで働いています…ですから私は、どのお客さんにも、愛想良くしなくてはならないのです…しかし、それは問題ではありません…ですが、その男は店に入るやいなや、20分は余裕で滑稽なことを言いはじめるのです…例えば、スクワイヤーのクラシック・ヴァイブは、私がいまピカピカに磨いて壁に掛けたばかりのカスタムショップ・リイシューよりも優れたギターである、などと言うのです…

時には、ハムバッカーを使っている限り、お前は本物のトーンを手にしていない、みたいなことを言ったりもします…また時には、展示中のヴィンテージ・ギターアンプをちらと見ては、50%オフにしろ、と言ってきたりします、理由は「むかしデジマートでその値段だったろ」です…

この男は、私が他のお客さんへ接客しているときに近づいてきては、メタルやりたい奴にアクティブ・ピックアップを勧めるなんてありねえだろ、などと言ったりします…それか、エフェクターを売ろうとしていると、それトゥルーバイパスじゃなくね?などと難癖を付けてきます…最新技術に興味がありそうなお客さんがフラっと入っていた時に、モデリングアンプを提案する時も、その男がやって来ます…そう、そしてフロイドローズのアームが付いたギターを売ろうとする時も…

この男は「価値観は人それぞれ」ということが理解できないのです…彼には、むかしエリック・クラプトンのギターテックをやっていた男を知っているという友達がいるらしく、トーンについては彼の知らぬものなどないのです…

この男が迷惑だ、とお客さんから苦情を申し付けられた私は、この男に対し、丁寧に、他のお客様に御迷惑をかけないでくださいますようお願い申し上げます、と告げると、男はインターネットの掲示板で、私の店について苦情を撒き散らしはじめるのです…

彼は、確固とした自分の意見を持つことによって、私よりも優れた仕事ができるわけではないということを、理解していないのです…

彼は、他人をイライラさせる完全なバカであるために、何度も何度も就職を断られてきたので、自分自身の存在価値を誰かに認めてもらいたいだけなのです…

とにかく…こんな男には、構ってはいけません…その男は、誰彼かまわず八つ当たりしているだけなのです…

 
 
ヒエエエエエエエーーーーーッ!!!!

如何だったろうか。これほどの恐怖体験、これほど邪悪な霊はこの世に他に存在しうるだろうか…

なお「私も楽器店の人に、そのように嫌われてはいないだろうか…」と心配された方に言っておこう…この男は、そんな心配をする神経など持ち合わせてはいない…あなたは全く問題ない…この男は、そんなことで心配したりはしない…
 
 
ヒエエエエエエエーーーーーッ!!!!


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